身のうしろ十一羽の子を引き連れて親鴨が行く梅雨明けの昼
高き壁上がらんとして子は落ちぬ親がも道替え側溝を行く
仕方ないことはやっぱり仕方ない来いと言われて従う小鴨
かるがもの親子側溝あゆみ行きひょいと上がりて草原を行く
かるがもの親子よちよち白いつめの花を揺らして川へと急ぐ
女たちの子守歌 みなみ恋し ふるさと
身のうしろ十一羽の子を引き連れて親鴨が行く梅雨明けの昼
高き壁上がらんとして子は落ちぬ親がも道替え側溝を行く
仕方ないことはやっぱり仕方ない来いと言われて従う小鴨
かるがもの親子側溝あゆみ行きひょいと上がりて草原を行く
かるがもの親子よちよち白いつめの花を揺らして川へと急ぐ
定時には来ぬバス待つや里若葉
五体湯に浸かる八十八夜かな
赤き薔薇古代ローマの風吹けり
声変わりしても端午の節句かな
菜園の目論見楽し苗の市
誘われて慌てるわれはどの靴も敗れているを夢より覚めぬ
波長あう鈴木さんなり工場でテレビの鋳型を共に磨きし
肩寄せて見し梅の花夫逝きてひとつきなれば小さき梅の実
夫逝きて笑顔の写真吾の前に思わずいつも「お父さん」とふ
波よする海に夫と子遊ぶ間をわれは崩れる白波を見つ
夫逝きて二人語りし茶房にて子らと語れば皆涙ぐむ
遠き日のカラオケ店でわが唄う〈愛の賛歌〉の曲が聞こえる
クリームパン昔なつかしき味するとゆっくり食べる夫の顔よし