昔から母の見る夢問題をわれ等にしらしむ習いぞ祈れ
沖縄をふりむきもせぬ母よ母西洋人形足枕にす
薄汚れぺちゃんこ人形母に似てレースの帽子ハイカラ少女
雨の朝に
そうめんの束のこりいて昨日の熱暑をさます朝雨の音
夏雨はむんむんとせりひんやりと肌に涼しい今朝のさびしさ
ふたたびを着かず放れず沖縄の伝統芸に生きるサプライズ
夏野 JUN
夏の野に潮風渡り讃岐富士
ひとのため祈ることあり遠花火
丘の上ホテルは今も巴里祭
純
沖縄舞踊 松岡尚子
生死分かつ別れありしとぞ船出前を女らの舞ふ沖縄舞踊
満月の光を浴びて不動なるをみなかすかに面上げたり
鴨狩りの男踊りは軽快にて鴨と仲良くステージを去る
霞ヶ関の茶房に居れば白髪の紳士が二人短歌(うた)の話する
短歌研究(八月号高野公彦選) mohyo
母の裡を切なく聞く夜白々とドクダミ草の花ゆれやまぬ
足の爪切りやる吾に女男のこと艶めき語る母を憎めり
小さくてきれいな爪持つ母の足八十九歳をマッサージする
「ご家族と話すときには母になる」青年福祉士吾に告げをり
綾子
梅雨明け 佐野豊子
廃品にパソコン、テレビ、椅子をだし12000円なりきょうも梅雨
廃品の回収業者はものおきの蜘蛛の巣キライむしコワイらし
フルーツのやんばるじぇりー沖縄の梅雨明けとともに届きたり
新聞記事
三面の記事からかならず読んでゆく放火、殺人、詐欺のつづきを
新聞は一社紙のみの知識なるも社説するどければテロを危惧す
急速に興味失うきらめかずワールドカップ敗退したれば
登り窯 JUN
伝へたき言葉は胸に梅雨に入る
梅雨空へ煙笠間の登り窯
紫陽花の花を急かせて小糠雨
実をあまた付けて寂しも枇杷の照る
短歌研究七月号(高野公彦選) mohyo
開け放つ窓に風鈴鳴る夜をときめきて聴きしテネシーワルツ
晩年の母
ねたきりの母の晩年せつなしよベッドの柵をつかむ手強し
介護5の母のことのみしていれば非情感から救われるでしょう
母のない日々がいずれは来るものを疲れてしまうベッドサイドで
もう生きる意欲をもたずおとなしくニライカナイをまつひと母さま
姥捨てはこころのなかの森にして闇にひかるはホタル火ならむ
