車窓よりはるかに見ゆるビル群の白じろけぶる黒雲の下に
響き渡れり NAOKO
梅雨明けて暑さ増し来る団地内草刈機の音響き渡れり
四日間盆踊りの練習あると聞き夕食済ませ急ぎ出で行く
夏物の衣類を持ちて入院中の息子を待ちぬ面会室に
紫陽花の咲く頃 NAOKO
紫陽花の咲く頃となり再びを読み返したり小説「津軽」
入居者の家族よりもらひしさくらんぼ口に運べば桜桃忌近し
現代の調べ物速しネット使ひ太宰の通ひし店をつきとむ
路地裏の隠れ屋の如き銀座店「ルパン」にいづれ行かんと思ふ
裸足の少女 NAOKO
叱られて青白き頬伏せにけり夜の庭に立つ裸足の少女
落日を眺めて後に家籠るひとの慣ひを心に留む
しっかりと親に抱かれし記憶なしながく寂しき少女期思ふ
夕端居 JUN
母見舞ふ慣れたる道に秋の風
思ひ出は未来に如かず夕端居
短歌研究09年9月号 高野公彦 選 mohyo
腰伸ばし歩めば楽し白髪を乱して千里走りてやらむ
短歌研究8月号 高野公彦選 mohyo
耳遠くなりたる君がテレビ音さげれば雀のさえずり聞こゆ
父は無く JUN
雨垂れに木の葉打たるる卯月かな
父の日に尽くされ尽くす父は無く
担架研究7月号 高野公彦選 mohyo
花冷えの夕べは結婚する気ない娘二人に毛布を配る
引き上げの夢ゆ覚めし朝体伸ばしゆらゆらほぐす寝床体操
未納十軒 松岡尚子
会費集金ままならぬまま〆切りの十日を過ぎて未納十軒
ノックすれど留守ゆゑ幾度も来しといふ集金袋を持ちしその人
階上の騒音何とかせよなどと苦情を持ち来る人多き団地
