hyaraさんが週刊新潮 新々句歌に掲載されました。

海亀のように背中がかたいですファーと息吐く楊整体師
俵 万智氏の評
 私自身もそうとうな肩こりなので、マッサージや整体の先生から、さまざまな
表現を聞いてきた。「岩のよう」「指が入らない」「鉄板」「ガチガチですね」等など。しかし楊体師の「海亀のよう」はすごい。すでに筋肉ではなく殻の域に達して
いるのだから、まことにダイナミックな比喩だ。「かたいです」は、ちょっとぎこちな
い日本語で、中国人の先生っぽさを、うまく出している(ただしくは「かとうござい
ます」)。『鳳凰の花』(平成二十六年・短歌研究社)

昭和37年19歳のころ大学文芸誌投稿作品     mohyo

灰色の雲徐々に徐々に集まりて視界にゆるる
白きおいらん草
亀裂する雲間より見ゆる橙色のメッキの月は
マヌカン照らす
人居らぬ教室の中黒板にかきなぐりの文字
ありて静けし
出生の秘密を知らず育ち来し混血児K君
美しき瞳もつ
ポツポツと音は切れつつ曲となる白き鍵盤に
母の手ありて
ユニホームの赤き色もよしポーランドの選手団今
我が前を行く
理由なき憂いもあるか水たまりの雲見つめつつ
友待つひととき
疎ましき日曜の午後一人居て五月雨の音を
あらためて聞く
漏れさせる光をかへす蜘蛛糸のやはらかくして
意外に切れず
えびがにが片手をあげる恰好(さま)なしてノッコリノッコリ
道を横切る
隆起せし胸誇るごと雑踏に女たたずむ夜の立川