梅雨晴れの日差しは暑し「かっぱ寿司」の屋根の上なる沈黙の空
簡単な送別会なり職場にてちらし寿司食う四人笑顔で
葉桜の影を踏みつつ低く咲く額紫陽花のそばを過ぎたり
「リアジュウ」は「リアル充実」若きらのかろき言葉を憎からず思ふ
女たちの子守歌 みなみ恋し ふるさと
梅雨晴れの日差しは暑し「かっぱ寿司」の屋根の上なる沈黙の空
簡単な送別会なり職場にてちらし寿司食う四人笑顔で
葉桜の影を踏みつつ低く咲く額紫陽花のそばを過ぎたり
「リアジュウ」は「リアル充実」若きらのかろき言葉を憎からず思ふ
診断は「健康的な胃粘液」と深呼吸してもう一度読む
〈六十年安保〉世代も八十路入りドトール・コーヒー啜り妻待つ
名に惹かれ思わず入りぬ(武蔵野茶房)太極拳の友を待ちたり
小仲台マンション時代は子供らの部活動や受験生の日々を励ます
リュック背負ひ乳母車押す若きパパ赤子の帽子直して笑みぬ
〈寅さん〉の銅像見上げて微笑みぬ〈さくら〉の像も柴又駅前
初めての経験なりし車内にて少年われに席を譲りぬ
マツキヨで洗顔クリーム手に取ればチューブの裏側文字の点描
立春の夕げに添えて京野菜
冴え返る刑場跡の柱穴
薄氷(うすらひ)に隔てられたる思ひかな
寒明けて珈琲の香の部屋に満つ
友去りて寒月細くなりしかな
姉の短歌が準特選
馬場あき子選 短歌研究5月号
故郷へ帰るすべなし吾を背負い祖母が歌ひし琉球古謡
祖母の背で不安といふを知り染めぬ引揚者に吹く基隆の風
泣くことは安らぎでした引揚者家族の長女三歳のわたし
ああー泣けば泣いてもよいと祖母も泣く引き揚げて三重の山道を行く
三線のリズムに一人踊りでて次々踊るも馴染めざるまま
長谷川綾子
姉は、教師を定年退職したが、ほっとする暇もなく、母の介護が待っていた。
わたしは、姉のおかげで活動範囲がひろがった。
短歌は、姉のほうが先輩だが、結婚と仕事で短歌はながく中断した。
これを弾みに作歌活動を再開してほしい。