花茣蓙を敷けば去年の吾と会ふ
離れいて日傘の奥の頸白し
見送るや読経の如き蝉時雨
グランドにボールが一つ夏終はる
生け垣を四角に切れば天高し
女たちの子守歌 みなみ恋し ふるさと
花茣蓙を敷けば去年の吾と会ふ
離れいて日傘の奥の頸白し
見送るや読経の如き蝉時雨
グランドにボールが一つ夏終はる
生け垣を四角に切れば天高し
40年経ってしまった過ぎし日の黒猫ミーに酷似する猫
亜熱帯の島になりゆく日本で熱中症の人が増えゆく
人の背に葉桜の影濃くゆれて木漏日の中鳥の声聴く
傘を打つ雨音聴きて誰れも誰れも歩みて行きぬ駅までの道
頭上ゆく電車の響き遠のけば背負ひしリュックの肩に重たし
八十年夢の如しと傘寿を迎ふ同窓名簿に黒印多し
空高く輝る飛行機見上げつつ「遠くへ行きたい」若き日ありき
卒寿越ゆ一日の基本はゴミ出しとラジオ体操夕べの風呂準備
賑わえる夜店と裏の深き闇
鑑賞す夜店に並ぶ飴細工
今日の日と吾を過去とし大西日
万歳寝している仔犬星祭
渇きたる心も満たし生ビール
早慶戦・反戦デーに安保デモ蝟集せし街新宿に酔ふ
カーブ時の電車スピードで傾くを今では見慣れし遮断機の前
車窓より巡る大地や麦の秋
ナイターや四万人と追う打球
手紙書く庭の石蕗花咲初めて
子離れや柱の傷は子どもの日
病み伏せば遠く聞こゆる祭り笛