草苗田の道  NAOKO

亀のごと歩み来たりぬ古希過ぎて新たな一歩水車よまわれ

顧みて汗と泥んこ母子家庭坂こしわれに今野ばら咲く

夕顔は面臥すごとく翳り見せ早苗田の道に風を受けおり

あかきソファ  NAOKO

黒髪と真紅の薔薇を思わせてあかきソファが軽トラで去る

最後まで凛としていた上階の酸素ボンベを引く女逝く

紅白のどちらが先かと友は聞く梅の蕾よ風渡りゆく

寂しさ   NAOKO

「父母の寂しさの上にありし幸」今にし思うと姉は告げたり

不協和音聞かさるるごと星空に「広告」を出す人工衛星

「わざわい」の漢字一文字平成の御代は終わりて新春来たる

花束    豊子の短歌

戻りたい人生の場所はどこなのか小さな花束置きたいけれど

またひとり舞踊仲間はふるさとへもどる晩年島唄うたう

昨晩の宴のあとのおすそわけ不死鳥の咲く花束いただく

ミスばかり緑のみーで枝を打つ「柳」踊るに歳がなんなの