水そそぎ湯をかきまわしバスタブに首までつかる切り花のよう
軽石でかかとすり終え目にみえぬ命にザンブとかけ水をする
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女たちの子守歌 みなみ恋し ふるさと
水そそぎ湯をかきまわしバスタブに首までつかる切り花のよう
軽石でかかとすり終え目にみえぬ命にザンブとかけ水をする
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老人は赤子ではないあの声をなんとかしてよ「お口をあーん」
寝たきりの母が指さす死者たちは天井にいて残念見えず
封筒の糊しろをつけ切手貼る何をしててもうっすら寒い
水を得た老魚そののち水底にひっそりとして尾ひれそよがす
今回は、詩を掲載します。
中学2年生の詩です。
自分の手をとおして自分をみつめ、ひとの温かさを感じ、自然の恵みを素直にうけとめています。
ー手ー NANAKO
わたしの手はなんでも知っている
わたしの好きなところも
わたしの落着く場所も
わたしの手はなんでも知っている
大切な人の手の温かみも
そよ風のやさしさも
だからわたしは
わたしの手にだけはウソはつけない
どんなに強がってみても
どんなに隠してみても
ぜったいにばれてしまう
わたしの手はなんでも知っている
四季の移り変わりや太陽のあたたかさ
命あるものの大切さや自然のやさしさ
わたしの手はわたしのいちばんの理解者
だって 生まれたときからの
長いつき合いだから
青空に溶けゆくように逝きたもう礼拝奏楽者九十三歳
素顔にてたった一度の死化粧まじまじ見れば微笑まんか
ひとはみな塵にかえる 神の霊やどるからだに寿命のあれば
病気せず百までいきる人あれどベッドの母にまなぶ忍耐
夕空をコバルトブルーに染め上げて
台風の雲走りぬけたり (羽根花子)
原作
台風の雲走りぬけ夕闇をコバルトブルーに染め上げて
ひゃら
「染め上げて」は5音。字数が足りないですね。
作者
「コバルトブルーに染め上げて」と一息によみます。
ひゃら
それでは、上下句をいれかえてみましょう。
ひゃら
台風の雲が去ったあと、何が、夕闇を染め上げているのでしょう。
作者
コバルトブルーの空が。それはそれは美しかったのです。あ、空がいりますか。
作者
夕空をコバルトブルーに染め上げて台風の雲走りぬけたり
作者
上下句を入れ替えてみるのもいいですね。
神の御手しずかに母をつつむらん周りの人をだんだん忘れ
雲うかぶここはどこかなちんちろりん虫鳴く夜の新秋津駅
眠たくて脳天の上の三日月にすみぬるような黒い横雲
いつか死ぬ夜のかがやきか野花より発光したり蛾のりんぷんは
ひふ癌のがんこに消えることもなし母のかたほほ黒点育つ
終生をささえつづける弟(おとと)さえ母は花木瓜ちんぷんかんぷん
姑の行く老人ホームはワンルーム
持ちゆくなかに写真数枚
(オリーブ)
原作
姑の行く老人ホームはワンルーム持ち行く物に数枚の写真
ひゃら
「持ち行く物に」では、写真だけもっていくように強調されますので、「持ち行くなかに」ではどうでしょう。
ひゃら
「老人ホームは」と「数枚の写真」は8音、破調になっています。
ひゃら
「老人ホーム」は名詞です。長い名前もありますので、破調になるのは仕方ないですね。「高齢者ホーム」ともいいますね。
ひゃら
「数枚の写真」は「写真数枚」と語順をかえ定型の7音をまもることで、歌が締まります。
散文と歌のちがいです。定型にしましょう。
作者
破調でもいい場合と、
語順をかえて、定型をまもることを学びました。
哀しみをけとばしている入院の母のかたえに向日葵として
転院をすすめる医師と聞く家族てんてん手毬の母ホームレス
聖書には発見多し「初めに言があった。言は神とともにあった。」
樹々の間を赤ゲラ行きつ戻りつす
息のみ見守る小淵沢の宿
(井手麻千子)
原作
赤ゲラが行きつ戻りつ樹々の間を息のみ見守る小淵沢の宿
ひゃら
珍しい鳥を見たときの心躍りがつたわります。
表現がぶつぶつ切れて言葉の省略が気になりました。
作者
宿の窓から赤ゲラを見つけたときは感激でした。友人と息をつめてみていました。
ひゃら
見たもの、感激したものを、率直に歌いだすことは、よいことです。まず歌ってみる。そのあと、言葉のつながりや、律、意味がつたわるか、推敲が大切です。
作者
いろいろ考えました。
ひゃら
語順や意味からゆくと「樹々の間を 赤ゲラ、、、、」と歌いはじめると安定してきます。
ひゃら
歌は散文ではありませんが、この歌の場合は、赤ゲラが行きつ戻りつ(スル)という動詞が省かれています。
語順をかえることで「戻りつす」と動詞をいれることができます。
作者
語順をかえることを学びました。