・ こぞの夏メモせし歌の紙切れがポケットより出づズボン穿くとき
家族の歌会 数年前のものです。 mohyo
捨てようと整理していたものの中からでてきた。
ふーしゃん
・ 満開のしだれ桜の紅の花右まわりに観左まわりに観る
・ ゴッホ描けり青の大空黄の畑不安ただよふ曲線の教会
松岡尚子
・ 予想もせぬ展開見する人生の不可解故に養ふるこころ
・ 曇日の潮来のあやめ花びらの白きを眺め紫を眺む
佐野豊子
・ 山いちめん芝桜咲くひつじ山日のくれどきに羊鳴くなり
・ 春星は密やかに落ちて花になる秩父連山ついに暮れたり
JUN
・ 人も街も置き去りにして万緑の山懐へ歩み入りにき
・ 春雷や微かに起きし旅心
・ 桃の花吾を窺ふ童子あり
・ 裏庭に父の影なし柿若葉
mohyo
・ バロックのオルガン響く虫たちの羽音のような草匂うよな
・ 水道水なれどこの朝春めきて耳の裏まで水洗いせん
平成19年第24回高幡不動尊あじさいまつり入選歌 空っ風
紫陽花の八十八ケ所巡り終え六十路の坂は結願となる
「紅手まり」「日向紺青」木洩れ陽を浴びて咲きゐる不動の丘に
父母の残せし・・・。 空っ風
幼き日見慣れし赤城山なつかしく父母の遺せし廃屋(いえ)の草引く
膝小僧ならぶ mohyo
それぞれに背負ふものあり玄関に家族見送る笑顔で元気に
子の心吾(あ)をなぐさめぬわがうたの歌評伸びやかちゃぶ台の上(へ)に
黒スーツ黒ヒール履くOLの膝小僧並ぶ春 もう春なんだ
われよりも老ひたる人と二人にてもったいないねと無料バス待つ
短歌研究8月号 高野公彦選歌 mohyo
「大丈夫元気なのね」と妹の声するケイタイをにぎりしめ行く
さりげなく過ぐ 松岡尚子
ゆったりと硝子の向かうを行き来して虎は去りゆく役者の様に
みづうみのやうな眼をして首長し二頭の麒麟がさりげなく過ぐ
群がりてざわざわとする人間を腰を降ろして眺むるゴリラ
マーラーとなる 松岡尚子
ドビュッシー私生活のことはさておきて魅力的なる「牧神の午後・・・・」
YES NOの矢印を追ひ行きつきし我に合ふ人マーラーとなる
母ゐる清瀬 mohyo
ベッドの中でエセエセチャッコチエコさん何語かわからぬ世にゐます母
大雨の音やみし朝草も木も風呂あがりのやふ母ゐる清瀬の
短歌研究7月号高野公彦選 mohyo
ぶれやすき我と思へり駅までの細道に射す黄の夕ひかり