なほ覚めずあれ    松岡尚子

・ 山上の風の如くに過ぎし人安立スハルの歌集読み終ふ

・ 詩が書けぬほどに弱るな詩が書けぬほどに弾むな言葉のつよし

・ 生きの身の生くる暮しのながき夢なほ覚めずあれとスハルの言葉

・ 火の玉を胸の奥処に持つがよしと歌人としての姿勢示しぬ

・ 何物も持たずすべてを持つ境地願ふと詠みし安立スハル

・ まだ知らぬ自分に会へる生くべしと安立スハルの言葉を信ず