手の甲の血管を見つ血管は葉のなき小枝の如く広がる
仕事上 必要なれば大人用のドリルを手にすコピーをせんと
このごろは食を気遣ひ豆腐ひじき油揚げ人参トマトなど食む
女たちの子守歌 みなみ恋し ふるさと
手の甲の血管を見つ血管は葉のなき小枝の如く広がる
仕事上 必要なれば大人用のドリルを手にすコピーをせんと
このごろは食を気遣ひ豆腐ひじき油揚げ人参トマトなど食む
車窓よりはるかに見ゆるビル群の白じろけぶる黒雲の下に
梅雨明けて暑さ増し来る団地内草刈機の音響き渡れり
四日間盆踊りの練習あると聞き夕食済ませ急ぎ出で行く
夏物の衣類を持ちて入院中の息子を待ちぬ面会室に
紫陽花の咲く頃となり再びを読み返したり小説「津軽」
入居者の家族よりもらひしさくらんぼ口に運べば桜桃忌近し
現代の調べ物速しネット使ひ太宰の通ひし店をつきとむ
路地裏の隠れ屋の如き銀座店「ルパン」にいづれ行かんと思ふ
叱られて青白き頬伏せにけり夜の庭に立つ裸足の少女
落日を眺めて後に家籠るひとの慣ひを心に留む
しっかりと親に抱かれし記憶なしながく寂しき少女期思ふ
母見舞ふ慣れたる道に秋の風
思ひ出は未来に如かず夕端居
腰伸ばし歩めば楽し白髪を乱して千里走りてやらむ
耳遠くなりたる君がテレビ音さげれば雀のさえずり聞こゆ
雨垂れに木の葉打たるる卯月かな
父の日に尽くされ尽くす父は無く
花冷えの夕べは結婚する気ない娘二人に毛布を配る
引き上げの夢ゆ覚めし朝体伸ばしゆらゆらほぐす寝床体操