来るボール来るボールを正面に受け止むるかなバレーの選手
四つ足で歩きてみればいつになく楽しさのありペンを捜して
博愛はアガペーといふ美しき言葉と聞きぬ老牧師より
女たちの子守歌 みなみ恋し ふるさと
来るボール来るボールを正面に受け止むるかなバレーの選手
四つ足で歩きてみればいつになく楽しさのありペンを捜して
博愛はアガペーといふ美しき言葉と聞きぬ老牧師より
冬ざれや薄切り大根(だいこ)のやうな月
マチュピチュも話題となりて初句会
春爛漫退職校長作品展
エスニック料理を待てば雪催
荒海や春の出雲の大社(おおやしろ)
柿の木の輝く芽吹き実る季をもの思ひつつ老いゆくよ
効率主義見えかくれするこの夕べ脳死男の臓器運ばる
猫の足すっと止まりぬフェンス上の鴉のダミ声猫を威嚇する
猫と鴉互ひに相手を読むごとし緊まりし時間その場に張りぬ
その瞬時鴉は黒き羽広げ猫の頭上を掠め羽ばたく
いつも居る鴉が俄かに飛び立てば勢ひのある一羽が追ひぬ
その翼たたみて鴉は木の上に戻りてゐたりまた一羽なり
母逝きてまだ三日もう三日なり一番電車の遠のく音する
妹は母との約束果たさむとまだ温き亡母のほほ皺伸ばす
表情の出てきたといふ母なれど泣くことなりき頭なでつつ
沈黙の後若き女の老を刺す母娘にやあらむ微妙な間合い
我に似る古き写真のお婆の目額の生えぎわ頬の筋肉
赤とんぼ襤褸(ぼろ)として出す母の服
透き硝子に強く当たりてベランダに落ちしヒヨドリ動かずなりぬ
いと細き茶色の足をその腹にぐっと引きつけ鳥は死にたり
カフェラテを飲みつつ今日の反省点メモに記して明日に備ふ