「若葉の影」      JUN

・ テーブルに若葉の影の揺れ止まず
・ 風光る渋谷に坂の多ければ
・ 音の無き賑はひ哀し花辛夷(こぶし)
・ 花影は湖水の揺れに従へり
・ 春眠の覚めれば仮の世に戻り

東日本大地震   JUN

津波にも日本の桜咲き初めり

ひとりにも遍(あまね)く春の日差しかな

寒く被災者の列整然と

草燃えよ奈落の底ゆ立ち上がれ

こども等の命輝け春の風

白鷺一羽      NAOKO

・明け近く粉砂糖のごと霜降りて稲刈り跡の田畑すがしも

・高架下流るる川に佇めば眼交を行く白鷺一羽

・落日のあとの夜の川風生れてオレンジ色の街灯を映す