堂々の泳ぎよきかなゆったりと泳ぐ鯉らに春の日及ぶ
われの年いつの間にやら老いの域社会の中心少し外れぬ
女たちの子守歌 みなみ恋し ふるさと
堂々の泳ぎよきかなゆったりと泳ぐ鯉らに春の日及ぶ
われの年いつの間にやら老いの域社会の中心少し外れぬ
電子辞書読める人等のパーティでブックバザール静かに売れゆく
編集学校に番匠師範師範代と職名残りてネットに学ぶ
青空の残る夕刻立食のパーティにゐる家族思ひて
編集力は刃金の強さと柔軟な意志持つことと教えられをり
・そのままを詠へば良いといふ妹の電話を切れずわが思ひ告ぐ
・千葉支部で共に学びし江田さん氏名の上の「故」の字消したし
・人を避くるわれの弱さを気にかけて歌会にでよと励ましくれぬ
・雑踏の中より手を振り吾を迎ふわが夫ならむあの歩き方
・沓き日に夫を頼むと義母言ひき庭の畑の大根抜きつつ
・ テーブルに若葉の影の揺れ止まず
・ 風光る渋谷に坂の多ければ
・ 音の無き賑はひ哀し花辛夷(こぶし)
・ 花影は湖水の揺れに従へり
・ 春眠の覚めれば仮の世に戻り
津波にも日本の桜咲き初めり
ひとりにも遍(あまね)く春の日差しかな
春寒く被災者の列整然と
草燃えよ奈落の底ゆ立ち上がれ
こども等の命輝け春の風
・四時過ぎの青空静か遠く飛ぶ機影のありてふいに寂しも
瀬戸大橋渡るバスより見渡せば乱反射して内海静か
・明け近く粉砂糖のごと霜降りて稲刈り跡の田畑すがしも
・高架下流るる川に佇めば眼交を行く白鷺一羽
・落日のあとの夜の川風生れてオレンジ色の街灯を映す