カリヨン     JUN

・カリヨン主宰市村究一先生逝去
・カリヨンの響き残れる枯野かな
・土に生まれ土へと還る冬菫
・柔らかな日差しの中を冬の蝶

眼可愛ゆし

・ ふっと吹きしシャボン玉ひとつ飛びゆくを見上げし幼の眼可愛ゆし

・ 落ち着きたいそんな気持ちが湧く時も常に動きて移ろふ生活


・ 甘き物止められているのに薬にて数値下がれば菓子パンを食む

炎昼の街   JUN

・ 菜園に虹立てながら水遣りす
・ 炎昼の街貌の無きひとの群れ

・ 日盛りに影濃くわが身置くも良し
・ 鑑三の石の教会日の盛り
・ 糊利かせ肌に馴染まぬ浴衣佳き

百五まで

五月雨の畑中を行くランドセル

百五まで生きてじいじと裸の子

アカンサス町医者なりし父遙か