となり家の屋根より高き木の見えていつもの景色はありがたきかな
震災後、景色を良く眺めるようになった
野の道に NAOKO
・野の道に茅花見つけぬ家持の歌思ひつつ手折りてすぐる
・稲光闇夜を走り間をおきて深く轟くティンパニーのごと
緑輝やふ 短歌研究10月号 佐々木幸綱選 mohyo
・見上ぐれば左右の樹の葉重なりて青空透かし緑輝やふ
梅の木 短歌研究9月号 高野公彦選 mohyo
・剪定をしすぎしわが家の梅なれど健気に十個の梅実らせぬ
・梅の木の上ゆく飛行機音もなく太くて白き雲ひきてゆく
東京スカイツリー 友太郎 (小学4年)
・足すくむ街全体を見渡せて東京タワーも下に見る
あたらしき朝に NAOKO
・塀の上の鴉がバサッと飛ぶ羽音しかとわが身に届きてゐをり
・あたらしき朝に雲在り飛行機が定めの空路を見え隠れする
・埃っぽく躍動感あり様々の人間模様の「今昔物語」
・白き鈴垂りて咲きたる満天星(どうだん)の根方を歩むコンビニへの道
横なぐりの雨 短歌研究8月号 高野公彦選 mohyo
・黒雲のぐんぐん来るを速歩して駅めざす吾に横なぐりの雨
・葉の形花の形は異種なれど黄花咲く見ゆ小さき草々
「隅田の花火」 短歌研究7月号高野公彦選 mohyo
・鉢植えの「隅田の花火」地植えして十歳になりぬわが庭隅に
防人越えし多摩の山 JUN
・五月雨や防人越えし多摩の山
・寂しさの指白むまで泉汲む
・葉隠れに花付き胡瓜垂れ初めし
・初採れの胡瓜の刺の痛さかな
・パンのみに生くるにあらず薔薇の花
雉鳴くや JUN
・極楽寺訪へば卯の花腐しかな
・武蔵野の大地の隅に芋植ゑて
・(鶯谷)
新坂といふ古き坂八重桜
・雉鳴くや世に揺るぎなき立ち姿
・蔓を待つゴーヤのネット風に揺れ