・小春日やソーキ蕎麦屋の古き軒
・お社の杜へと吾の初太鼓
・鉤となり風となり行くラガーどち
年賀状 JUN
・交はさぬも阿吽の呼吸年賀状
・分け入りし人の跡ある枯野かな
・ほうき星壊れし空も年の果て
・抽象画の個展覗くも年の内
(田端節) 空っ風
・流行歌なれど胸打つ(田端節)戦中・戦後を歌ひて逝けり
隅田の花火 短歌研究10月号 佐々木幸綱選 mohyo
・吾の元気昔がたりにしたくなし隅田の花火夜空染めゆく
七歳の夏 空っ風
・雑炊のあかざ摘みたる暑き日は戦争敗れし七歳の夏
満月見たし 短歌研究9月号 高野公彦選 mohyo
・一服のお茶を頂く我の前紋白蝶が庭をよこぎる
・雲間より雨上がりの屋根照らしゐる雲の上なる満月見たし
木漏れ日の珠(たま) JUN
・夜の噴水色どられては落ちにけり
・落ち蜩の乾坤一擲飛び立てり
・苦瓜の簾より得る今朝の糧
・ペダル踏みめぐる飛鳥や虫の声
・秋風に木漏れ日の珠瞬けり
夏の気配 NAOKO
・ わが好むあかむらさきの花の毬紫陽花が咲く夏の気配に
滝の音 JUN
・滝の音静かと思ふ滝が落つ
・誕生樹その子と作る杏ジャム
・金星も斯くやと思ふ猛暑かな
・夕風に身を任せれば茄子の花
・天空の光を集め天道虫
鉄塔のもと NAOKO
・一面のしろつめ草は明るみて雨にけぶれり鉄塔のもと