白雲の一部と見えし白き月雲の流れて静かな月光
夏終はる JUN
花茣蓙を敷けば去年の吾と会ふ
離れいて日傘の奥の頸白し
見送るや読経の如き蝉時雨
グランドにボールが一つ夏終はる
生け垣を四角に切れば天高し
黒猫ミー NAOKO
40年経ってしまった過ぎし日の黒猫ミーに酷似する猫
亜熱帯の島になりゆく日本で熱中症の人が増えゆく
短歌研究9月号永田和宏選 木漏れ日 mohyo
人の背に葉桜の影濃くゆれて木漏日の中鳥の声聴く
傘を打つ雨音聴きて誰れも誰れも歩みて行きぬ駅までの道
頭上ゆく電車の響き遠のけば背負ひしリュックの肩に重たし
短歌研究9月号永田和宏選 同窓名簿 からっ風
八十年夢の如しと傘寿を迎ふ同窓名簿に黒印多し
短歌研究8月号馬場あき子選 mohyo
空高く輝る飛行機見上げつつ「遠くへ行きたい」若き日ありき
短歌研究8月号馬場あき子選 からっ風
卒寿越ゆ一日の基本はゴミ出しとラジオ体操夕べの風呂準備
大西日 JUN
賑わえる夜店と裏の深き闇
鑑賞す夜店に並ぶ飴細工
今日の日と吾を過去とし大西日
万歳寝している仔犬星祭
渇きたる心も満たし生ビール
短歌研究7月号永田和宏選 からっ風
早慶戦・反戦デーに安保デモ蝟集せし街新宿に酔ふ
短歌研究7月号永田和宏選 mohyo
カーブ時の電車スピードで傾くを今では見慣れし遮断機の前