豆腐屋のラッパ二度鳴り前を行く小学生も「なつかしいね」と
梅の花蕾ふくらみ今朝はもう三つも咲きて風わたりゆく
女たちの子守歌 みなみ恋し ふるさと
豆腐屋のラッパ二度鳴り前を行く小学生も「なつかしいね」と
梅の花蕾ふくらみ今朝はもう三つも咲きて風わたりゆく
奥村晃作の歌集「八十一の春」を机上に広ぐ吾も八十一歳
亀のごと歩み来たりぬ古希過ぎて新たな一歩水車よまわれ
顧みて汗と泥んこ母子家庭坂こしわれに今野ばら咲く
夕顔は面臥すごとく翳り見せ早苗田の道に風を受けおり
厚着して袖に手ちち”めカフェ目ざすまてよ寒いが春風まじる
本棚に置きしままなる亡き母の歌読み返し胸高まりぬ
母の歌素直で優しき眼持ち母の傍へにまた居る思ひ
そよぐ風滝より生まれ流れ来し
鯖漁の灯火遥かに夜の帳
黒髪と真紅の薔薇を思わせてあかきソファが軽トラで去る
最後まで凛としていた上階の酸素ボンベを引く女逝く
紅白のどちらが先かと友は聞く梅の蕾よ風渡りゆく
浅草の地に根ざししかニューオリンズ・ジャズコンサートに今年も集ふ
聴衆を巻き込み奏す曲目はサッチモ歌ひし『聖者の行進』
cdを毎晩聞きつつ熟睡し今朝も夫とラジオ体操
「父母の寂しさの上にありし幸」今にし思うと姉は告げたり
不協和音聞かさるるごと星空に「広告」を出す人工衛星
「わざわい」の漢字一文字平成の御代は終わりて新春来たる