住みやすき所のあかし貝塚は古代人偲び市川に住む
最近不安な毎日で提出したつもりでしてなかったりする。肝臓が悪い腎臓がわるいとそうなるのかな。二つの臓器は悲鳴を上げることなく多くの働きをしてくれているほかの臓器はひめいをあげるのに。
女たちの子守歌 みなみ恋し ふるさと
住みやすき所のあかし貝塚は古代人偲び市川に住む
最近不安な毎日で提出したつもりでしてなかったりする。肝臓が悪い腎臓がわるいとそうなるのかな。二つの臓器は悲鳴を上げることなく多くの働きをしてくれているほかの臓器はひめいをあげるのに。
漢字四つ関心を向け読み行けばお雪さんが居た『濹東綺譚』
夜の更けぬ荷風の文面読むときに酔生夢死のことば眼に入る
春信の浮世絵版画に印象を与えられしと荷風は書けり
姉と共に荷風の展示会に来つハットとステッキ直筆を見き
写真に見る面長荷風笑顔には前歯が欠けて親しみ覚ゆ
マスクして使い残しの化粧水かおりよければ蓋しめなおす
ウィルスに罹らなかった偶然も保証もない世の泥の人形
蛸壺のタコ舟床を這動く画像は愛(かな)しわたしのようで
昨夜まで準備していた老牧師の説教はじまるzoom礼拝
雨粒がこつんこつんと卯木(うつぎ)うつ義父が亡きあと生きて花咲く
新涼(しんりょう)や和紙に滑らすガラスペン
母は影子は声のみの夕花野
老いらくのひと日は速し夕焼雲(ゆうやけぐも)
爽(さわ)やかや初貸し出しの新刊本
赤トンボ忙しさうで暇さうで
跳ね上がる数字の一人にならなくて良かったなんて黙食をする
若者の路上飲酒に打つ手なしグッと我慢は辛いだろうな
もう一度舞の仲間と踊りたい乳房なくした胸を律して
今風に言えばレアかな紅型の裾を持ち上げ着丈みる夢
サンダルの老女小町が庭をゆく椿しずかに聖花眠らす
「夢は枯野」と比較して「隣は何を」が佳しとありヒトの交わり
物語人が創るは何ゆえと思うことあり虚構の暗示
白鷺の翼広げてやすやすと塀のりこえし若さいまなし
かすかにも潮風匂う北の窓カーテン抜けて秋の気配す
日常に見つめいただけ白雲にみつめられたり今立ち行かな
俳人に儀礼の手紙夜の蝿(はえ)
向日葵(ひまわり)の破顔(はがん)一笑(いっしょう)乳母車
日溜まり(ひだまり)に置かれしままの夏帽子
紫陽花(あじさい)や明日(あす)への夢は色とりどり
藤寝椅子(とうねいす)励ます言葉めぐらして
決勝戦五輪の体操コロナうつあちこち顔向けアマリリス咲く
「よいいみでリラックスせよ」と畑違うプロの先生同じこと告ぐ
雑誌など散らかっている居間帰宅して帽子を脱げば素顔になりぬ
家籠り小説読みつつ少しだけしつこさ感ず漱石の文
ハシブトの鴉の声よ懸命な本能に生きて塀の上なり
亡母のこと思い出すこと多くなりこの寂しさの不思議を思う
嫁ぎ来て教会へ行かぬ吾なれど亡母に呼ばれてゐるやうな日々
ふくいくと蜜柑の花やかくれんぼ
風立つや大波小波藤の波
降りそそぐ谷間の日差し若楓
渓流に濡るる木の葉や業平忌
ひと待てば蕗の葉にふる粉糠雨