いとど跳ね足一本を残しけり
一山を絡め捕らへて葛の花
釣瓶落し口笛吹いてゐてひとり
月島に夕餉のあかり秋簾
女たちの子守歌 みなみ恋し ふるさと
いとど跳ね足一本を残しけり
一山を絡め捕らへて葛の花
釣瓶落し口笛吹いてゐてひとり
月島に夕餉のあかり秋簾
クリップの6個が2列に並びゐてクリップパクパク歌ふ夢見つ
亡き祖母が吾(あ)の枕辺で帯を解く夢より覚めて泣き心鎮む
大き魚(うお)に吾はまたがり糸満の湾に着きしが魚死にし夢
冷房を効かすマイカー止めてより夫と走る自転車連ね
せっかくの風鈴鳴らず窓閉めるどの家も窓締めていたんだ
夏雲や頂点極む観覧車
ハーレムの壁に描かれて金魚らは金魚鉢抜けジャンプキスす
真夏日を冷え冷え電車降り立てば新宿駅のホームがぬくし
微動だにせぬ風鈴ようだるよな暑さ気温は39℃と
薯の花うねる大地の儘に咲く
山手線ぐるぐる廻って飽きた頃帰りましたと欠席理由告ぐ
萎えていし夕べの紫陽花打ち水に葉をピンとさせすましてる今朝
集落の遺跡の道の石みだれ吾はも聞かん生活(たつき)の響き
集落はトルコ遺跡の石の家悠遠なる影西日のつくる
アメリカの音楽、文化をあびし身は住めぬよトルコの
遺跡見てたつ
「うど」つまみほーと落ち着く 忙しく「うど」の皮むく夕餉のくりやに
バロックの音楽聞こゆ虫たちの羽音のような草匂うよな
水道水なれどこの朝春めきぬ耳の裏まで洗ってみれば
氷川丸のイルミネーションに誘はれて観光客ら船に入りゆく
氷川丸の錨をおろす岸壁に夜の海波暗く打つ音
「重荷負ふ者われ休ません」聖句 日本語に訳し掲げてありぬ
雨あがる横浜の空ひろびろし頭上はブルー遠くは白緑