口笛  JUN

いとど跳ね足一本を残しけり

一山を絡め捕らへて葛の花

釣瓶落し口笛吹いてゐてひとり

月島に夕餉のあかり秋簾

夢に見しもの   mohyo

クリップの6個が2列に並びゐてクリップパクパク歌ふ夢見つ

亡き祖母が吾(あ)の枕辺で帯を解く夢より覚めて泣き心鎮む

大き魚(うお)に吾はまたがり糸満の湾に着きしが魚死にし夢

夏  mohyo

ハーレムの壁に描かれて金魚らは金魚鉢抜けジャンプキスす

真夏日を冷え冷え電車降り立てば新宿駅のホームがぬくし

微動だにせぬ風鈴ようだるよな暑さ気温は39℃と

集落  mohyo

集落の遺跡の道の石みだれ吾はも聞かん生活(たつき)の響き

集落はトルコ遺跡の石の家悠遠なる影西日のつくる

アメリカの音楽、文化をあびし身は住めぬよトルコの
遺跡見てたつ

草匂うよな   mohyo

「うど」つまみほーと落ち着く 忙しく「うど」の皮むく夕餉のくりやに

バロックの音楽聞こゆ虫たちの羽音のような草匂うよな

水道水なれどこの朝春めきぬ耳の裏まで洗ってみれば

氷川丸  ふーしゃん 1996年ごろ

氷川丸のイルミネーションに誘はれて観光客ら船に入りゆく

氷川丸の錨をおろす岸壁に夜の海波暗く打つ音

「重荷負ふ者われ休ません」聖句 日本語に訳し掲げてありぬ

雨あがる横浜の空ひろびろし頭上はブルー遠くは白緑