96年の作品
内暗く老樹の立つを境界に外人墓地をUターンせり
楽(がく)にのり世界各地の人形がわが前を通る平和なるかな
国分寺よりタクシーに乗りナイターを知らざる若き運転手に会う
忠実に今年も咲ける福寿草花数殖えていきいきとせり
女たちの子守歌 みなみ恋し ふるさと
96年の作品
内暗く老樹の立つを境界に外人墓地をUターンせり
楽(がく)にのり世界各地の人形がわが前を通る平和なるかな
国分寺よりタクシーに乗りナイターを知らざる若き運転手に会う
忠実に今年も咲ける福寿草花数殖えていきいきとせり
施設より借りし自転車前かがみの若向きの故われには合わず
おのが身の一部とはなる自転車を自分の金で買わんと決めぬ
朝より夕刻までを待ちくれし駅の自転車にごめんねと言ふ
夜を継ぎて粉雪降るに自転車はこほれる如く我を待つなり
寒ければ自転車止めて自販機の缶珈琲で手を温むる
畑する姑の希(ねがひ)わが夫わが子に会ふ日かぞへゐましき
姑(はは)の歌書き写しつつ蕎麦を打つ姿目に起つわれら従へ
姑のやさしき思ひ今ならば許せるものを吾子遠ざけし日よ