腰伸ばし歩めば楽し白髪を乱して千里走りてやらむ
短歌研究8月号 高野公彦選 mohyo
耳遠くなりたる君がテレビ音さげれば雀のさえずり聞こゆ
父は無く JUN
雨垂れに木の葉打たるる卯月かな
父の日に尽くされ尽くす父は無く
担架研究7月号 高野公彦選 mohyo
花冷えの夕べは結婚する気ない娘二人に毛布を配る
引き上げの夢ゆ覚めし朝体伸ばしゆらゆらほぐす寝床体操
未納十軒 松岡尚子
会費集金ままならぬまま〆切りの十日を過ぎて未納十軒
ノックすれど留守ゆゑ幾度も来しといふ集金袋を持ちしその人
階上の騒音何とかせよなどと苦情を持ち来る人多き団地
短歌研究6月号 馬場あき子選 mohyo
童謡といふは何やら悲しくてラジオに流るる「あの子はだあれ」
初夏の古都 JUN
すし詰めの江ノ電初夏の古都を行く
短歌研究4月号 馬場あき子選 mohyo
黒々と柔き土なり人参の色あざやかに抜かれゆく見ゆ
祈るが如く JUN
寝たきりの老母なれば心にて祈るが如く話かけたり
短歌研究5月号 馬場あき子選 mohyo
曇天の昼をメジロのこゑやみて多くは留守の町内しづまりぬ