夜の闇の底輝かせ酉の市
小春日の子ら燦々と学びをり
女たちの子守歌 みなみ恋し ふるさと
夜の闇の底輝かせ酉の市
小春日の子ら燦々と学びをり
今年もはや12月号が届く季節になった。今年は前年度より大きく後退し雑誌『短歌研究』に掲載される
短歌がすくなかった。 色々バランスを取りながらやっているので満足ではないがこれでよしとしている。
私はいろいろなところに投稿していない。観ていると活躍されている方々は方々に投稿しておられる。
それだけ短歌(うた)をたくさん創る努力があるわけで今の私には欠けている。来年はもっと確実に短歌の
時間を増やしていこうと思う。
後ろだて無き浮舟の幸せを老後の不安と重ね読みゆく
浮舟につきこし人らの老後など語られず帰るもどかしきなり
戦争で儲けし人ら闇にをり例へば満州立国のころ
秋麗の空へと行く手続きけり
水葬を知らぬ幼の吾なりき引き揚げ船より捨てらるる恐怖
手の甲の血管を見つ血管は葉のなき小枝の如く広がる
仕事上 必要なれば大人用のドリルを手にすコピーをせんと
このごろは食を気遣ひ豆腐ひじき油揚げ人参トマトなど食む
車窓よりはるかに見ゆるビル群の白じろけぶる黒雲の下に
梅雨明けて暑さ増し来る団地内草刈機の音響き渡れり
四日間盆踊りの練習あると聞き夕食済ませ急ぎ出で行く
夏物の衣類を持ちて入院中の息子を待ちぬ面会室に
紫陽花の咲く頃となり再びを読み返したり小説「津軽」
入居者の家族よりもらひしさくらんぼ口に運べば桜桃忌近し
現代の調べ物速しネット使ひ太宰の通ひし店をつきとむ
路地裏の隠れ屋の如き銀座店「ルパン」にいづれ行かんと思ふ
叱られて青白き頬伏せにけり夜の庭に立つ裸足の少女
落日を眺めて後に家籠るひとの慣ひを心に留む
しっかりと親に抱かれし記憶なしながく寂しき少女期思ふ
母見舞ふ慣れたる道に秋の風
思ひ出は未来に如かず夕端居