沈黙の後若き女の老を刺す母娘にやあらむ微妙な間合い
古き写真 短歌研究10月号 石川不二子選 mohyo
我に似る古き写真のお婆の目額の生えぎわ頬の筋肉
母の服
赤とんぼ襤褸(ぼろ)として出す母の服
ヒヨドリ NAOKO
透き硝子に強く当たりてベランダに落ちしヒヨドリ動かずなりぬ
いと細き茶色の足をその腹にぐっと引きつけ鳥は死にたり
カフェラテを飲みつつ今日の反省点メモに記して明日に備ふ
短歌研究9月号 高野公彦選 mohyo
臨席の裸足で靴を履く男足組みて止まぬ貧乏ゆすり
短歌研究8月号 高野公彦選 mohyo
大事ゆえトイレにも持ちしこの財布置き忘れたるを戻り来吾に
短歌研究7月号 高野公彦選 mohyo
初のりの息子と組んだペアヨットレース2位になりたる父の笑顔よし
となり家のもみじ葉のみどり陽に透きて追ひつめられし思ひ溶けゆく
短歌研究6月号 馬場あき子選 mohyo
税務署の庭まで並び一時間やよひの空見て納税終へぬ
新設の葬儀会場説明会うやうやしくされ無料ご膳に
短歌研究5月号 馬場あきこ選 mohyo
あの着方認められぬが息止めて國保の演技をそれそれと見し
江の電 JUN
すし詰めの 江の電初夏の 古都を行く