古いなあと友に言われたこともある今でも好きだ「雪国」の駒子
ニュースにて越後湯沢に雪ふれば今にも駒子が現れそうで
さりげなく「今何時?」と彼に聞く大谷直子の駒子なつかし
トンネルをくぐりて帰るその人に手振り別れぬこころ痛みて
実りなき徒労と知れど正直な瞬時のこころに賭けし駒子は
女たちの子守歌 みなみ恋し ふるさと
古いなあと友に言われたこともある今でも好きだ「雪国」の駒子
ニュースにて越後湯沢に雪ふれば今にも駒子が現れそうで
さりげなく「今何時?」と彼に聞く大谷直子の駒子なつかし
トンネルをくぐりて帰るその人に手振り別れぬこころ痛みて
実りなき徒労と知れど正直な瞬時のこころに賭けし駒子は
温め酒ひとには告げぬ思ひあり
秋しぐれ時間は決めぬ待ち合せ
アルプスを遥かに望み葡萄棚
サクソフォン秋の窓辺を流れくる
秋の灯の過去へ流るる車窓かな
新しい手帳が届く銀表紙この世のことにまだつながっている
棚にある琉球ガラスのピアスして逢えるだろうか琉球人(レキオス)の祖に
評判のお萩を息子は求めきて「注射わすれず打って」と念押す
わたくしと背丈は同じ150センチ「日本経済の父」渋沢栄一
秋の月の画像を見つつ旅に出たいでたいでたいで脈拍乱す
夫とわれ仲良く生きなむ今日もまた「ひるのいこい」のテーマ曲流れ
住みやすき所のあかし貝塚は古代人偲び市川に住む
最近不安な毎日で提出したつもりでしてなかったりする。肝臓が悪い腎臓がわるいとそうなるのかな。二つの臓器は悲鳴を上げることなく多くの働きをしてくれているほかの臓器はひめいをあげるのに。
漢字四つ関心を向け読み行けばお雪さんが居た『濹東綺譚』
夜の更けぬ荷風の文面読むときに酔生夢死のことば眼に入る
春信の浮世絵版画に印象を与えられしと荷風は書けり
姉と共に荷風の展示会に来つハットとステッキ直筆を見き
写真に見る面長荷風笑顔には前歯が欠けて親しみ覚ゆ
マスクして使い残しの化粧水かおりよければ蓋しめなおす
ウィルスに罹らなかった偶然も保証もない世の泥の人形
蛸壺のタコ舟床を這動く画像は愛(かな)しわたしのようで
昨夜まで準備していた老牧師の説教はじまるzoom礼拝
雨粒がこつんこつんと卯木(うつぎ)うつ義父が亡きあと生きて花咲く
新涼(しんりょう)や和紙に滑らすガラスペン
母は影子は声のみの夕花野
老いらくのひと日は速し夕焼雲(ゆうやけぐも)
爽(さわ)やかや初貸し出しの新刊本
赤トンボ忙しさうで暇さうで
跳ね上がる数字の一人にならなくて良かったなんて黙食をする
若者の路上飲酒に打つ手なしグッと我慢は辛いだろうな
もう一度舞の仲間と踊りたい乳房なくした胸を律して
今風に言えばレアかな紅型の裾を持ち上げ着丈みる夢
サンダルの老女小町が庭をゆく椿しずかに聖花眠らす
「夢は枯野」と比較して「隣は何を」が佳しとありヒトの交わり
物語人が創るは何ゆえと思うことあり虚構の暗示
白鷺の翼広げてやすやすと塀のりこえし若さいまなし
かすかにも潮風匂う北の窓カーテン抜けて秋の気配す
日常に見つめいただけ白雲にみつめられたり今立ち行かな