炎昼の街   JUN

・ 菜園に虹立てながら水遣りす
・ 炎昼の街貌の無きひとの群れ

・ 日盛りに影濃くわが身置くも良し
・ 鑑三の石の教会日の盛り
・ 糊利かせ肌に馴染まぬ浴衣佳き

百五まで

五月雨の畑中を行くランドセル

百五まで生きてじいじと裸の子

アカンサス町医者なりし父遙か

「若葉の影」      JUN

・ テーブルに若葉の影の揺れ止まず
・ 風光る渋谷に坂の多ければ
・ 音の無き賑はひ哀し花辛夷(こぶし)
・ 花影は湖水の揺れに従へり
・ 春眠の覚めれば仮の世に戻り