・振り向けば夫も振り向き手をあげる今日一日をそれぞれに行く
短歌研究12月号(今年の選歌3首)
・編集学校に番匠師範師範代と職名残りてネットに学ぶ
・青空の残る夕刻立食のパーティにゐる家族思ひて
・経済は消費すること世のためとパクパク動く口を見てをり
短歌研究11月号佐々木幸綱選 mohyo
・四時過ぎの朝の空気の清らなり静かに静かに戸を開け放つ
短歌研究10月号佐々木幸綱選 mohyo
・68歳初めて持てる自室なり戦後引き揚げの夢見ずなりて
海の匂いぞ NAOKO
・夕闇に海の匂ひぞ川風を受けつつ橋を渡りゆくとき
・店の蜜柑黄に変はりゆく虫すだく窓の外にも秋の来てゐて
カリヨン JUN
・カリヨン主宰市村究一先生逝去
・カリヨンの響き残れる枯野かな
・土に生まれ土へと還る冬菫
・柔らかな日差しの中を冬の蝶
鶫とぶ午後 JUN
無花果の崩るる深紅手のひらに
ひた走る四肢の光や運動会
鶫とぶ午後の陽光愛しみて
宵寒や歩めば高き靴の音
行く秋の小太鼓の音や神楽坂
「夜のカフェテラス」 NAOKO
・今朝もまた駐輪場の近くにて五匹の猫に見つめられたり
・夜の街を風に吹かれて歩み来ぬ「夜のカフェテラス」さながらの街
眼可愛ゆし
・ ふっと吹きしシャボン玉ひとつ飛びゆくを見上げし幼の眼可愛ゆし
・ 落ち着きたいそんな気持ちが湧く時も常に動きて移ろふ生活
・ 甘き物止められているのに薬にて数値下がれば菓子パンを食む
短歌研究9月号 高野公彦選 空っ風
・若き日の夢叶ふとふ溌剌とベルリン・フィルを指揮する佐渡氏
・佐渡裕ドボルザーク八番の指揮了へ額の汗ひかる見ゆ
・佐渡裕髪掻き上げてタクト振るベルリン・フィルにブラボーブラボー