・黒雲のぐんぐん来るを速歩して駅めざす吾に横なぐりの雨
・葉の形花の形は異種なれど黄花咲く見ゆ小さき草々
「隅田の花火」 短歌研究7月号高野公彦選 mohyo
・鉢植えの「隅田の花火」地植えして十歳になりぬわが庭隅に
防人越えし多摩の山 JUN
・五月雨や防人越えし多摩の山
・寂しさの指白むまで泉汲む
・葉隠れに花付き胡瓜垂れ初めし
・初採れの胡瓜の刺の痛さかな
・パンのみに生くるにあらず薔薇の花
雉鳴くや JUN
・極楽寺訪へば卯の花腐しかな
・武蔵野の大地の隅に芋植ゑて
・(鶯谷)
新坂といふ古き坂八重桜
・雉鳴くや世に揺るぎなき立ち姿
・蔓を待つゴーヤのネット風に揺れ
短歌研究5月号 6月号 馬場あき子選 mohyo
・一人ごといふ人この昼三人目皆ぷりぷりして車内を歩む
・人去りてリフォームつづく隣組最高齢のわれらとなりぬ
花の別れ JUN
幼子と小庭耕す暮の春
忘れ得ぬ時とめ卒業写真かな
移ろはぬもののありけり老桜
漆黒の夜空を覆ふ桜かな
雨催ひ花の別れを惜しみけり
共に見しこと NAOKO
・本読むとひとり籠もりぬテーブルに置かれし林檎のかをり立つなか
・ぬばたまの夜半に浮かべり過ぎし日に手児奈の井戸を共に見しこと
短歌研究4月号 馬場あき子選 mohyo
・夜咄の茶事始まると雁行す若きがわれの荷を持ちくるる
・蝋燭の芯を鋏で切りしとき炎の明るさ増して揺らめく
・正客の松風の音言ひしとき頷きてきく湯のたぎる音
・待ち待ちし薄茶一服いただけば手の中にある茶碗の重さ
・薄暗く炎のぬくさ静けさよこのひとときを素直にをりぬ
永遠の生命 NAOKO
・黄の薔薇のかをり思わせ星くずを描きしゴッホの「夜のカフェテラス」
・永遠の生命とは何。「永遠」に触れし生命と応えたりひとは
短歌研究2月号 永田和宏選 mohyo
・C-3が私の席と図書館に音せぬようにページめくりをり
