・ランドセルの上に置かれて夏帽子
・時の日や象には象の時計あり
・梅雨冷えや吾と我が身の隙間より
『蹶起趣意書』 からっかぜ
・惟神ながらの激を誌るせりペン書きの『蹶起趣意書』の文字は幼し
・亡き人の遺影飾りて山車はゆく鎮魂の祭り秋の日昏るる
土手はもう春 mohyo
・包みゐし新聞捨つるを短歌欄あれば読みをりゴミ箱の前
・両足裏つりたる試験直前にできるやるぞと水飲み励む
・朝食を「ドトール」と決め江戸川の風顔に受け夫と土手行く
・こんなにもイヌフグリ咲くとよく見れば心晴れゆき土手はもう春
赤煉瓦 からっかぜ
・赤煉瓦オフィス・ビル街丸の内≪一丁目ロンドン≫しのぶ歴史散策
・駿河台椿の花咲くビル陰に太田道灌供養碑は建つ
校舎息づく NAOKO
・ くさめ続く冷ゆる朝なり石油代上がると知りて暦を見上ぐ
・ 4Fのベランダに聴く児童らのブラス・バンドに校舎息づく
『長箒』 NAOKO
・長箒そつと差し出し一枚の枯葉擦れば「何よ」と落ちず
・長箒伸ばして怖づ怖づ突つ突きて一瞬驚く羽広げたり
『庭の畑』 JUN
・ 寒明けの 光到れり 庭の畑
・ 古里は野焼く焔に隔てられ
・ 團十郎逝くとも春はめぐり来る
・ 苔むして廻る水車や水温む
・ 職を辞し深く耕す庭の畑
円椅子 NAOKO
・ 美しき曲とぞ思ふ幾度も聴きたしと思ふ(別れの曲)を
・ キッチンの円椅子に坐り煮える間を口ずさみゐる君の短歌を
・ (了解です またメールする)高校の時と変はらず簡潔な彼女
静かに思ふ 短歌研究2月号永田和宏選 mohyo
・公務員でおはりし暮らしをよしとして生活(たつき)のあれこれ静かに思ふ
初御空 JUN
・ 一人居に黄昏早き冬日かな
・ 柔らかな日差し仔犬に枯芝に
・ 忘れゐし夫婦の絆南瓜切る
・ 無限へと続く紺碧初御空
・ 初夢に彼の世此の世はなかりけり
