・夜咄の茶事はじまると雁行す若きがわれの荷をもちくるる
・蝋燭の芯を鋏で切りしとき炎の明るさ増して揺らめく
・正客の松風の音言ひしとき頷きてきく湯のたぎる音
半夏生咲く 空っ風
・山かひの犬山棚田の水の畔に白き花映ゆ半夏生咲く
短歌研究11月号佐々木幸綱選 mohyo
・尺八の穴に似て良し十六匹蝉の脱け穴わが庭にあり
第13回市川手児奈文学賞(短歌部門)大賞 空っ風
題 「2012年市川を詠む」
・行徳の小さき酒房のジャズライブ冬の月光玻璃戸ゆとどく
初太鼓 JUN
・小春日やソーキ蕎麦屋の古き軒
・お社の杜へと吾の初太鼓
・鉤となり風となり行くラガーどち
年賀状 JUN
・交はさぬも阿吽の呼吸年賀状
・分け入りし人の跡ある枯野かな
・ほうき星壊れし空も年の果て
・抽象画の個展覗くも年の内
(田端節) 空っ風
・流行歌なれど胸打つ(田端節)戦中・戦後を歌ひて逝けり
隅田の花火 短歌研究10月号 佐々木幸綱選 mohyo
・吾の元気昔がたりにしたくなし隅田の花火夜空染めゆく
七歳の夏 空っ風
・雑炊のあかざ摘みたる暑き日は戦争敗れし七歳の夏
満月見たし 短歌研究9月号 高野公彦選 mohyo
・一服のお茶を頂く我の前紋白蝶が庭をよこぎる
・雲間より雨上がりの屋根照らしゐる雲の上なる満月見たし
