歌詠めと勤務せし吾に亡母言ひき歌詠むときは豊かなるよと
鰯雲 JUN
逆上がりできぬ子とをり鰯雲
星祭り瞬くほどのわが命
冷ソーメン濡れたるままの卓に喰ぶ
訃報受く静かに閉づる秋扇
戦後史 空っ風
戦後史はたとへば「りんごの唄」のごと脳裏に深く刻まれてをり
短歌研究9月号高野公彦選 mohyo
葉漏れ日に耀ふあぢさゐ新聞で宮英子氏の訃報を知りぬ
「コスモス」に遺せし母のうた読まな山吹き色のふろしき解きて
きのふまでその目、口して長崎の海泳ぎゐしとイサキ見てをり
教会で 松岡尚子
祖父母より代々を来し教会で福音を聴きて過ごしぬ日々を
短歌研究8月号高野公彦選 空っ風
ルーブル展〈風俗画〉とふ人々の日常を描きし西洋の絵師
フェルメール写真タッチに描きたる「天文学者」の前に佇む
陶酔といふ日常をテーマとし白き胸をばあらはに描く
若き母、乳房ふふませる「聖家族」ほのかな灯りに安らぎを描く
短歌研究8月号高野公彦選 mohyo
・風そよぐ江戸川土手に読み進む〈サクラオーナー〉記す立札
・江戸川の土手の若草萌ゆる昼スカイツリーの烟りて見ゆる
如何なる未来待つ JUN
・老木は天に茂れり雲の峰
・水着着て肢体如何なる未来待つ
・見え過ぎぬことにも慣れてサングラス
・のろまでも元気なら良し百日紅
・ソーダ水ジェスチャーゲーム賑やかに
短歌研究7月号高野公彦選 空っ風
・「校庭の記念樹開花」と教へ子の便りとどきて喜寿迎へたり
・ほのかなる花の明るさ夜桜の空に赤銅色の満月
短歌研究7月号高野公彦選 mohyo
・陸軍の支援をうけて軍医なり沖縄ゆ台湾に来し貧しき父は
