祐次氏の葬儀  佐野豊子

火葬炉の順番八日も待たされて小さな顔の兄(にい)さんさよなら

ご遺体は義兄の魂が脱ぎしもの棺の横の遺影に親しむ

一条の涙がマスクに消えていくアクリルボードの姪を見つめる

宣告は余命一年あたたかく病身さすりし妻娘の手のひら

電話にて姉に頼まる「順番に死のうね」なんて返事にこまる