誘われて慌てるわれはどの靴も敗れているを夢より覚めぬ
波長あう鈴木さんなり工場でテレビの鋳型を共に磨きし
女たちの子守歌 みなみ恋し ふるさと
誘われて慌てるわれはどの靴も敗れているを夢より覚めぬ
波長あう鈴木さんなり工場でテレビの鋳型を共に磨きし
肩寄せて見し梅の花夫逝きてひとつきなれば小さき梅の実
夫逝きて笑顔の写真吾の前に思わずいつも「お父さん」とふ
波よする海に夫と子遊ぶ間をわれは崩れる白波を見つ
夫逝きて二人語りし茶房にて子らと語れば皆涙ぐむ
遠き日のカラオケ店でわが唄う〈愛の賛歌〉の曲が聞こえる
クリームパン昔なつかしき味するとゆっくり食べる夫の顔よし