短歌研究11月号島田修三選 mohyo

住みやすき所のあかし貝塚は古代人偲び市川に住む

最近不安な毎日で提出したつもりでしてなかったりする。肝臓が悪い腎臓がわるいとそうなるのかな。二つの臓器は悲鳴を上げることなく多くの働きをしてくれているほかの臓器はひめいをあげるのに。

酔生夢死 NAOKO 

漢字四つ関心を向け読み行けばお雪さんが居た『濹東綺譚』

夜の更けぬ荷風の文面読むときに酔生夢死のことば眼に入る

春信の浮世絵版画に印象を与えられしと荷風は書けり

姉と共に荷風の展示会に来つハットとステッキ直筆を見き

写真に見る面長荷風笑顔には前歯が欠けて親しみ覚ゆ

泥の人形  佐野豊子

マスクして使い残しの化粧水かおりよければ蓋しめなおす

ウィルスに罹らなかった偶然も保証もない世の泥の人形

蛸壺のタコ舟床を這動く画像は愛(かな)しわたしのようで

昨夜まで準備していた老牧師の説教はじまるzoom礼拝

雨粒がこつんこつんと卯木(うつぎ)うつ義父が亡きあと生きて花咲く

赤トンボ   JUN

新涼(しんりょう)や和紙に滑らすガラスペン

母は影子は声のみの夕花野

老いらくのひと日は速し夕焼雲(ゆうやけぐも)

爽(さわ)やかや初貸し出しの新刊本

赤トンボ忙しさうで暇さうで