サンダルの小町  佐野豊子

跳ね上がる数字の一人にならなくて良かったなんて黙食をする

若者の路上飲酒に打つ手なしグッと我慢は辛いだろうな

もう一度舞の仲間と踊りたい乳房なくした胸を律して

今風に言えばレアかな紅型の裾を持ち上げ着丈みる夢

サンダルの老女小町が庭をゆく椿しずかに聖花眠らす

物語  NAOKO

「夢は枯野」と比較して「隣は何を」が佳しとありヒトの交わり

物語人が創るは何ゆえと思うことあり虚構の暗示

白鷺の翼広げてやすやすと塀のりこえし若さいまなし

かすかにも潮風匂う北の窓カーテン抜けて秋の気配す

日常に見つめいただけ白雲にみつめられたり今立ち行かな