短歌研究6月号米川千嘉子選 mohyo

小さき花咲かせし雑草抜かれずに川辺の道に黄色くゆれをり

閉店された店の前やコンクリートの間に黄色 白 ピンク 紫の雑草がきれいにみえる五月です。その雑草をたくさん増やしている駐車場を通るたび1本だけくださいとおもうけど黙って抜くことはしない。凄いなと見て楽しませてもらっている。あぜ道で見つけてもってきた。増えるとうれしいな。でもうちは日影が多くなってしまった。それも悪い面だけではないとおもうけど玄関が向き合っていないのでお話することはない。

市川を詠む ― 令和3年春やよひ ー  長谷川祐次 

春の太陽(ひ)はやさしく射して「早春賦」真間小学校児童の歌声聴こゆ

弘法寺(ぐぼうじ)の「伏姫桜」(ふせひめ)今年も枝垂れ咲き四百余年の歴史を見つむ

国府台砲車の軋むまぼろしを聴きて歩みぬ桜並木を

真間川にじゅん菜池に降る雨は櫻花(はな)を散らして市街(まち)に春呼ぶ

コロナ禍の一年(ひととせ)過ぎぬ早や三月(やよい)「いち歩」のウオーク待たるる出会ひ

                    「松ぼっくり」 いちかわ歩こう会会報誌4月号

                        

3ケ月前のこと  佐野豊子

強すぎた抗がん剤に肝臓をいためて神の領域を踏む

嘔吐して苦しむ日々を萌えいずる歌集は届く渾こめられて

あのかたは岬灯台ゆるぎない信仰もちて施設にくらしぬ

乳ふたつなければ胸は薄いもの入っているのはわたしの心臓

今は肝臓の数値も低くなり癌CA15-3もいまのところ安定しています

燕    NAOKO

介護付きマンション入り口スッと翔ぶ燕の二羽が巣作り始める

徐々徐々に器の形に成りてゆく燕の巣作り丁寧なり

ひたすらに巣に沈むごと温かく卵を抱ける燕を眺む

巣の下に箱が置かれて入り口を出入りする人皆雛を見る

雛たちの背なに乗るほど羽ばたきし元気な雛が1番に翔ぶ

春の虹   JUN

オルゴールほろんと鳴りぬ雛納

三月は青き空より生まれ来ぬ

春雷の残して行きし春の虹

行く雲やグーチョキパーとこぶし咲き

八方へ花溢れさすミモザかな