コロナ禍の癌    長谷川祐次

コロナ禍の八月半ば告知さるリンパ線節(癌)に茫然自失

抗ガン剤 放射線治療を拒みたる自然療法は日々の散策(ウオーク)

ガン告知受けし夏の日呆然と・・秋逝く夕べやふやく和む

告知さるガンを抱へて四ヶ月八十路の坂道秋風の冷ゆ

エアコンの温風浴びて起ち上がる八十路の朝のラジオ体操

歌集ていだ(太陽)より 佐野豊子

心臓のぴたりと止まりわが犬が死んでいくなり両腕おもし

背骨 腹 眼にもおそらく癌のあるその犬がよぶ母なるわれを

衰弱死するほかやすらぐ術のない犬をいだけばかすか尾をふる

山火事  NAOKO

夜に見る山火事耀い広がれり災い住居に近づくらしも

離れいて静かにみている我が罪よ夜の山火事巨大宝石

ちょっとした油断禁物焚き火から小屋に延焼消化器効かず

昼間みる山火事煙が拡大しヘリコプターが水撒く細し

栃木より群馬に山火事移りゆき怖しと想う炎は情念