美(ちゅら)さ沖縄  佐野豊子

もう未来見えない日本そのはなのもっと見えない美(ちゅら)さ沖縄

空暗く鳥きしきしと羽博(はう)つなりヤハウェわが神われら生きたし

なんとなく隠しもちたる裂布(さいで)あり祖母の紅型(びんがた)木綿なれども

その山は歌の香久山その山は琉歌の神すむ恩納岳 撃つな

いま思う一心のちから恋をひめ醜女舞たる太き足腰

佐野豊子は「ていだ(太陽)」によって改めてその出自のかなしみを問い直すことに情熱を燃やした。戦火に洗われて消えてしまった家系、ことに祖母の育みによって養われた心の沖縄を取り戻そうと「琉舞」の稽古を復活した。彼女はクリスチャンであるが、その信仰はどこか古代的な琉球の祈りと無縁ではない。その原点の沖縄がしだいに熱く体の中に甦るのが感じられる。   馬場あき子先生評

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