鳳凰の花   佐野豊子

沖縄の国立劇場おおらかな魂(まぶい)をたまえ舞わんこの身に

悲しまず腰の故障を受け入れん舞いのなかまはよく食べ笑う

ひとの死にあうこと多し祈りても一曲一曲舞いたきものを

死は人の数だけありてわが母の糸満冨美子の死もただ一度

検索の沖縄料理コピーする食べず知るのみ猪(いな)ムドチ汁

教会は世間の縮図ほどほどに生きて非力な牧師の妻われ

豊子さんは11月6日に癌手術を受ける毎日私は祈っているコロナで家族も入れずに一人でうけてくるそうだ。頑張ってほしい。上の歌はまだ若かったころ馬場あきこ先生からはげまされて歌集『鳳凰の花』の表紙に書いてくださったお言葉で感謝一杯の私である。豊子さんがんばれ!!

「佐野豊子さんは琉球舞踊の正統を守る渡嘉敷流のよき舞手である。厳正な舞の稽古のなかに短歌を作る時間があることが、双方にとって幸福な関係をなしていることを思う。そして佐野さんは沖縄の現実を決して忘れてはいない。魂の原卿である沖縄への愛と悲しみをもって平和を希う祈りとして舞を捧げるのである。またクリスチャンでもある佐野さんは教会の仕事にもたずさわる信仰の人だ。それらが混沌として融け合う歌境を目指しての未来があることを祈ってやまない。」 馬場あき子