忘れえぬ思いでかなし引揚者貧しきわれら「茄子の馬」喰む
8月の短歌 佐野豊子
食品尽き冷感タオル頸にまきスーパー目指す猛暑の道を
葉っ葉類目指す店内あれこれと選ぶはダメよウィルスつくと
歌詠まぬ義妹ふたりに助けられマスク、玉ねぎ、ジャガイモ届く
戦争を生きし母の介護病棟「お金あるの」が口癖でした
放映の95歳は生きのびて手足吹っ飛ぶ(戦時の記憶絵)
もうすぐ終戦記念日 NAOKO
軍人の教育を受け戦いし父の価値観戦後くずれぬ
軍帽の内側に母の写真秘め戦いし父遺品にて知る
新しき考え方には乗り切れず金儲けには疎き父なりし
食後には好みて子らに歌いくれしローレライの曲今も心に
糸満市のひめゆりの塔映るとき沖縄を思う旧姓なれば