「もういちど もういちど」   佐野豊子

八重岳の蝶にあいたし千葉(せんよう)の言葉つやめくおきなわの雨季

雨粒に取り出すバッグの底の底 沈没船のような古傘

深海に暮らすはずの〈釣り目鯛〉われに食われて媼になるかも

もういちど もういちど」と真夜に聞く昭和歌謡に人の恋しさ

キリストの脇腹を突く槍の先したたりやまずたとえば辺野古