思い出  NAOKO

少女期のバレエ教室バーに並び胸張りて立つ指示を受けつつ

高安寺のバレエ教室タンバリンパーンと響きて少女ら飛びぬ

家なかに長時間座る長椅子が罅われて来ぬわがししむらも

甘味噌をご飯に混ぜて与えくれし祖母のナーコと我を呼ぶ声

五月雨の家籠もりなり草むらにけぶるがに咲く矢車菊は

春の水  JUN

ぐーぱーのパット開きし黄水洗

子供らの影を浮かべて春の水

啓蟄や菜を採り終へし土の畑

妻の愚痴遠くに聴くや花ミモザ

春霞だれも分からぬ明日かな