昭和の匂い  佐野豊子

だみ声のカラスが鳴いて目が醒めるふたつ命のふれあう一瞬

敗れたり天覧相撲に攻めきれず貴景勝は土俵に腹這う

素枯れ菊ぽきぽき折って焚き火した昭和の匂いは何故か哀しい