小説  NAOKO

礼拝の席に祈りを捧げいる黒づくめの女(ひと)誰かと思う

山小屋のベランダに立てば八ケ岳遠目に見えて病む人(ひと)思う

血縁の強さにややも嫉妬する彼女が父を慕う姿に

影のごと主人公に添い読みゆけば内向きなれど芯強き人

風立ちて枯葉幾ひら重なれり季節思わせ小説終わる

短歌研究年鑑   mohyo

家族らと共に歩みて墓参する段差のところは支えられつつ

洞窟で見つからぬやう母親が子の首しめし沖縄決戦

殺されし子らとわれとは同年代沖縄思ひて夏日浴びをり