新元号 心高ぶり何びとも新入生のごとく待ちをり
短歌研究8月号永田和宏選 mohyo
洞窟で見つからぬやう母親が子の首しめし沖縄決戦
殺されし子らとわれとは同年代沖縄思ひて夏日浴びをり
竹団扇 JUN
ゆるやかな時を過ごすや竹団扇
静けさや海に臨みて雨の薔薇
時の日に岬の鐘を打ちてみる
洋館に歴史の重み黴にほふ
岩にたわわ亀の子たちの甲羅干し
大海の光 NAOKO
「神の愛知らずに来ただけ」白鳩がつと窓にきて手紙落とせり
伸び伸びと人ら泳げり大海の光背にして老人上がり来
暮れ近き夕茜雲つかの間の光といえど芒穂照らす
短歌研究7月号永田和宏選 mohyo
千鳥ヶ淵さくら眺めて気がつけば外国人に囲まれ歩む
短歌研究7月号永田和弘選 からっ風
古希迎ふ最初の教え子M君ら吾を招きて母校訪ぬ
短歌研究6月号米川千嘉子選 からっ風
ふるさとに父母亡く家無く思ひでは今も聳ゆる上毛三山
短歌研究6月号米川千嘉子選 mohyo
お茶の水駅前広場腕組みて娘と渡る夕茜雲
令和元年5月号米川千嘉子選 mohyo
豆腐屋のラッパ二度鳴り前を行く小学生も「なつかしいね」と
梅の花蕾ふくらみ今朝はもう三つも咲きて風わたりゆく
令和元年5月号米川千嘉子選 からっ風
奥村晃作の歌集「八十一の春」を机上に広ぐ吾も八十一歳