仲春の声仲春の梢より
友来る春泥踏みし靴のまま
暖かや緋鯉も泳ぐ神田川
陽炎や人見街道起点の地
4月の俳句 JUN
棋士破る人工知能亀の鳴く
雲丹食べて築地の今を愛(お)しみけり
図書館で本を借りよか花曇
青春を共に過ごしてさくら時
散髪の髪の白さや花の冷え
何が起こりし 松岡尚子
二十五年続きしSMAPマネージャー解任されぬ何がおこりし
Tちゃん からっ風
Tちゃんと呼びかけるとも応答なくただ臥すTの傍に佇む
見舞ひたる病舎の窓ゆ上毛三山は雪を冠りて冬の陽を浴ぶ
上毛三山→さんざんとルビ
三山→赤城 榛名 妙義の三山
短歌研究5月号米川千嘉子選 mohyo
薄れゆく過去(すぎゆき)の旅黄河の月『山西省』を今こそ読まな
算盤を習ふと希ふに「軍人の娘ぞ計算せずに生きよ」と
短歌研究4月号米川千嘉子選 mohyo
三歳で吾は台湾ゆ引き揚ぐる戦争学ばぬままに七十三歳
教え子と からっ風
五十年前の教え子と小さき旅互いに体調気遣ひてをり
短歌研究3月号永田和宏選 mohyo
夕刻の茶房は若きら増えゆきてリズムの強き曲に変わりぬ
茶房にてあちこちメールし吾の思ひ明確になる独りではない
歴史さんぽ からっ風
ガイド氏の頭上に公孫樹黄葉散り歴史さんぽの一日昏れゆく