・滝の音静かと思ふ滝が落つ
・誕生樹その子と作る杏ジャム
・金星も斯くやと思ふ猛暑かな
・夕風に身を任せれば茄子の花
・天空の光を集め天道虫
鉄塔のもと NAOKO
・一面のしろつめ草は明るみて雨にけぶれり鉄塔のもと
恵比寿にて 短歌研究8月号 高野公彦選 mohyo
・恵比寿ではベーグル店と今日決めてうたつくりをり待ち人来るまで
・カフェに来てしばし休めば『がんさぽーと』静かにめくる老紳士あり
円空 空っ風
・円空の彫りし仏像ノミの跡今に伝ふる奥飛騨の寺
・円空のこころ伝ふる仏像は飛騨の草生す民家に遺る
風とほるらし 短歌研究7月号 高野公彦選 mohyo
・山茶花の照葉のかたへ紅葉葉の微かにゆれて風とほるらし
・風過ぐる高きあお空広々と我はせわしく蒲団を叩く
魚野川 からっかぜ
・夕昏るる幽けき雪の魚野川手漉きの和紙に墨ながすごと
・フキノトウ花咲く一日昏れゆきて夜汽車の走る越の雪原
試験直前(太極拳) 短歌研究3月号永田和宏選 mohyo
・両足裏つりたる試験直前にできるやるぞと水飲み励む