短歌研究3月号永田和宏選(準特選)          mohyo

母逝きてまだ三日もう三日なり一番電車の遠のく音する

ある時は「帰らないで」と涙する母をいさめて芝居見てをり

妹は母との約束果たさむとまだ温き亡母(はは)のほほ皺伸ばす

表情の出てきたといふ母なれど泣くことなりき頭なでつつ

病室の母に会うため通ひしが「ただいま」と言へりいつよりか吾の