子の投げし石は沈みて波立てり空気緊まりし神社の池に
プロの手が整へし眉わが眉と思へぬ程なり明日より仕事
ビルからビルへひよいと渡りしCMの人間のごと再就職す
いつまでの仕事となるか契約の社員となりて再就職す
心の中の整理も終わる 松岡尚子
出会いより飾りを持つを好まれずわれはひとりの平凡なをんな
受信メール送信メール削除して心の中の整理も終る
処世術苦手なる身は雑多なる世渡りの本を少しく読みぬ
短歌研究4月号 馬場あき子選 mohyo
海さかな見まほしと言ふ妹と水族館はビルの十階
短歌研究3月号 岡井隆選 mohyo
「お互いさまがんばりましょう」と書かれたる老女のはがきの文字読み取りぬ
辛らつな我への評価に疲れるがそうかも知れぬ湯のあたたかさ