・ ヴェルレーヌ詠ひし巷の雨上がり心に降る雨乾かしてをり
NHK郡上市古今伝授の里短歌大会 空っ風
・ 風ひかる「江戸川ウォーク」の先頭は人影小さく市川橋(はし)渡りゆく
NHK熊野路田辺短歌大会入選 空っ風
・ 反戦デー、フォークの集ひ遥かなりあの日の君も古希となりしか
みなとみらい文芸祭佳作 空っ風
・ 麦秋の京の町家は時間(とき)止まり土瓶の湯気に人影ゆれり
なほ覚めずあれ 松岡尚子
・ 山上の風の如くに過ぎし人安立スハルの歌集読み終ふ
・ 詩が書けぬほどに弱るな詩が書けぬほどに弾むな言葉のつよし
・ 生きの身の生くる暮しのながき夢なほ覚めずあれとスハルの言葉
・ 火の玉を胸の奥処に持つがよしと歌人としての姿勢示しぬ
・ 何物も持たずすべてを持つ境地願ふと詠みし安立スハル
・ まだ知らぬ自分に会へる生くべしと安立スハルの言葉を信ず
短歌研究10月号石川不二子選 mohyo
・ たいこ橋の向こうに空の広ごりて橋渡りたし老いてなほさら
年齢不問 松岡尚子
・ 介護者の仕事に年齢不問とありやや安心すパートにあれど
・ 認定日より認定日まで二度以上求職活動をせよと言はるる
・ 新宿で食せし寿司も珈琲も千葉がうましと思ひてかえる
短歌研究9月号高野公彦選 mohyo
・ こぞの夏メモせし歌の紙切れがポケットより出づズボン穿くとき
家族の歌会 数年前のものです。 mohyo
捨てようと整理していたものの中からでてきた。
ふーしゃん
・ 満開のしだれ桜の紅の花右まわりに観左まわりに観る
・ ゴッホ描けり青の大空黄の畑不安ただよふ曲線の教会
松岡尚子
・ 予想もせぬ展開見する人生の不可解故に養ふるこころ
・ 曇日の潮来のあやめ花びらの白きを眺め紫を眺む
佐野豊子
・ 山いちめん芝桜咲くひつじ山日のくれどきに羊鳴くなり
・ 春星は密やかに落ちて花になる秩父連山ついに暮れたり
JUN
・ 人も街も置き去りにして万緑の山懐へ歩み入りにき
・ 春雷や微かに起きし旅心
・ 桃の花吾を窺ふ童子あり
・ 裏庭に父の影なし柿若葉
mohyo
・ バロックのオルガン響く虫たちの羽音のような草匂うよな
・ 水道水なれどこの朝春めきて耳の裏まで水洗いせん